私たちが農業をしている大原は、京都市左京区にあります。
左京区といっても、出町柳から車で30分、比叡山よりももっと山奥の集落です。

「京都、大原三千院」と歌われた観光地でもありますが、
古くは林業で栄え、大原女(おはらめ)といえば、燃料となる柴と呼ばれる薪を頭に乗せて町に売りに行く女性のことでした。

そんな、中山間地域である大原。
三千院、寂光院などをはじめとする寺院が点在し、棚田の風景の残るのどかな地域です。
大原の名産品といえば、赤紫蘇を使ったお漬物、しば漬けです。
これは、寂光院の尼僧がつくったのが始まりとされており、現在もいくつものお漬物やさんが大原にはあります。
しば漬け作りに最も大切な赤紫蘇は、代々受け継がれてきた種を絶やすことなく、毎年、種取りを繰り返し作り続けられています。
ちりめん赤紫蘇とよばれるその赤紫蘇は、香り高く色も美しいのが特徴と言われています。
5月に入るとあちこちで赤紫蘇の苗を定植する大原の人々の姿が見られます。
のどかな大原の景色と相まって、昔から変わらない伝統を感じる風物詩といえます。

つくだ農園でも、大原の方から譲り受けた赤紫蘇の種を、大切に種取りして毎年育てています。

そして、自分たちの育てた有機のナスやキュウリで自家製のしば漬け作りもしています。
乳酸菌発酵の香ばしくも優しい酸味と香りがあり、うつくしい紫色をしたしば漬けは、
大原地域の伝統を守り伝える意味でも、毎年作り続けたいお漬物なのです。

大原は、山のなかにぽっかりと広がる盆地です。
小さな農山村ですが、石垣積みのうつくしい棚田があり、比叡山系の山水の豊かな場所です。
四季織織の花が咲き、田んぼや畑の風景が国道沿いに広がります。
京都から車で30分とは思えない、どこか懐かしい日本の原風景のような大原なのです。